2006年8月27日

「ロイヤリティー(忠誠心)」
  

私たちの住むサンホゼ界隈に、私たちの団体(Assemblies of God)は35の教会があります。そのうちの17は、いわゆるヨーロッパ系民族の教会で、あとの18は、我々のようなエスニック教会です。17教会はどちらかと言うと歴史のある教会で、最近はヨーロッパ系の人口が減って、出席人数が減っている教会もありますが、一応全部個々の教会でコーポレーション〈宗教法人〉になっている教会です。その中で一番集めている教会は、ベテル教会(Bethel Church) という教会で、大体3000人くらいの会衆がいるとおもわれます。この教会は、私たちカリフォルニアの星教会から車で5分くらいのところにある教会で、彼らの朝一番の礼拝(9:00)に出て、それから私たちの礼拝に集うという、いわゆるかけもちも可能です。実は、アメリカでは、このかけもちをやるクリスチャンは非常に多いと思います。私はミズーリ州にいたときは、学生でしたし、その問題点をあんまり感じませんでしたが、サンホゼに来て、実際小さくても群れを任されるようになると、このかけもちクリスチャンは非常にバザー(気に障り)しました。

最近はどうか分かりませんが、私は日本の教会が、このかけもちを殆ど認めないことを知っていましたので、日本に戻る人たちには、それをやらないようにということを教えました。けれどもアメリカの教会の実情を知っている人たちは、日本に戻っても、やはり「恵まれる」と感じるところに出かけるのですね。そうすると、そこの先生ばかりではなく信徒からも、「xxさん、あなたはこの教会のメンバーになるつもりなら、あっちやこっちの教会をふらふらしないで、この教会に忠実さ(ロイヤリティー)を表すべきです」と言われます。この日本の教会の指導は、私が教会の指導者だからという理由からではなく、聖書的だからという理由で、私も支持します。

ところが、アメリカ、ことに東西南北あらゆる地方・国々から人が集まっているカリフォルニアのことに都市部では、聖書的などと言っていては教会が立ち行かなくなることがあるように思います。私はだからと言って、そういう流れに乗ろうとしているのではありませんが、・・・・・・・・・・。

先に紹介したベテル教会は、1970年代だったと思いますが、現米国アッセンブリー教団の副理事長チャールズ・クラブトリー師が就任してから、急激に成長しました。しかしそれまでサンホゼで一番集めていたアッセンブリーの教会は、F先生の牧会する、カルバリー・コミュニティー教会という教会でした。当時を知るアメリカ人の牧師仲間に、その教会のことを聞くと、「それはもう、組織には飛ぶ鳥を落とすほどの勢いがあった。ベテル教会など、てんで目じゃなかった」と言います。新しい立派な会堂を建て、幼稚園から高校まで、学校を経営し、言ってみればエンター・プライズ的教会でした。ところが、この教会はどうもそのF先生の不道徳が原因で、いっぺんに立ち行かなくなりました。私がサンホゼに来た時は、虫の息でしたが、まだF先生はおりました。しかし、すぐにカルバリー・コミュニティー教会は売りに出されました。買ったのが、南カリフォルニア、コスタメサに本部があるあの有名なカルバリー・チャペルでした。カリバリー・コミュニティー教会が、カリバリー・チャペルになっただけですから、これは良かった。その後、南のカリバリー・チャペルから派遣された牧師がやって、それまで持っていた学校などを整理し、負担を軽くして、近年はそこそこにうまく運営されているとい思いました。

ところが近年、若い新任の牧師が派遣されました。その牧師か、その牧師の奥様かが、「あなた方は、カルバリー・チャペルの会員なら、カルバリー・チャペルにロイヤリティーを示しましょう。あっちやこっちの集会に行くのはやめましょう」とやったようです。これは日本の教会なら、あんまり問題にならないでしょう。しかし、「自分がエンジョイできるかどうか」を一番大事にする、カリフォルニアのクリスチャンにとって、こういう指導は非常にバザーしたようです。アメリカの多くのクリスチャンは、自分が一番エンジョイ出来ること、また一番カンファタブル(気楽)な教会がお好きなようです。従って、何か大きな集会、有名な説教者がくる集会、有名なミュージシャンが来る集会、そういうものがあるとたとえそれが日曜であっても、そちらへ流れる傾向があります。そういう時、小さな教会の牧師は、決してしそういうことについては「行くな」とは指導せず、「そう、あの集会に行って来たんですね。それは良かった」と、涙をこらえつつも、それを励まし、達観していることが大切です。ところが、サンホゼ・カルバリー・チャペルの指導者は、そうしなかった。たちまち、それまでカルバリー・チャペルの経済を支えていたような有力なメンバーが、「そんなに自由がないのでは、もう教会を替わる」と次々に出てしまったのです。結果、サンホゼ・カルバリー・チャペルは、今、売りに出されています。どこかの教会が買えばいいですが、開発業者が買うなら、教会は叩き壊されて、ショッピング・センターとか、オフィス・ビルディング、あるいはマンションが建つことでしょう。

私たちの知り合いに「アメリカにいる日本人クリスチャンは、そういうアメリカのクリスチャンのことをしっかり勉強しているので、実にあっけらかんで、あっという間に来なくなります。ですから牧師は、信徒が一人も来なくなってもやって行けるくらいのお金を、いつも持っていないとだめなんです」と言った牧師先生がおりましたが、多少頭をひねりつつも、それが実感なのです。

サンホゼで一番集めている教会は、単立カリスマ派のジュブリー・クリスチャン・センターという教会で、韓国ヨイド純福音教会のチョー先生もよく来る教会です。この教会にある日系教会のメンバーが、時々通いだしました。そうしたら、その日系教会では、「うちのメンバーなら、そんなよその教会に行くべきではない」と指導しました。ところが、その日系クリスチャンは、ジュブリー・クリスチャン・センターで、「私はxxという日系教会の会員ですが、そちらを除籍しないと、ここに来てはいけないのでしょうか?」と尋ねました。ジュブリーの牧師は、「私たちの教会は、あなたが日系教会の会員であっても、一向に構いません」と言ったものですから、非常にカンファタブル〈気楽〉さを感じて、そのまま続けて、ジュブリーに通っていました。その結末は、この日系クリスチャンは日系教会を除籍し、今はジュブリーのメンバーということになっています。ただ、そういう性格の教会ですから、おそらくこの方が来なくなっても、大して気にされることはないと思います。

コスタメサのカルバリー・チャペルという教会は、教会籍などないのが特徴だと聞きました。ただ参加していればメンバーですし、いなくなればいつでもメンバーでなくなるのです。実は、アメリカには、このタイプのクリスチャン生活が好きな人がかなりいるようです。責任はない、教会に対するロイヤリティーはない、でも楽しい、気楽、行きたい時は行く、嫌ならやめる、こちらも気にしないし、牧師も自分が来なくなっても、気にしない、・・・・・・

あなたはこういう教会がいいですか? 聖書的だと思いますか? しかし、これが現実ですから、カルバリー・チャペルの流れを汲む、サンホゼ・カルバリー・チャペルが、「この教会にロイヤルになりましょう」と指導したとたん、このサンホゼ・カルバリー・チャペルは立ち行かなくなったようです。